「訪問看護で対応できること、できないこと」を知ることは、ご自身やご家族が適切なケアを受けるうえでとても大切です。厚生労働省のデータによれば、【全国18,000以上】の訪問看護ステーションが稼働しており、在宅療養を選ぶ方は年々増加しています。しかし、「どこまでの医療処置や生活援助が頼めるの?」「費用負担や申請手続きはどうなっている?」と不安を感じている方は少なくありません。
「自宅で家族を介護したいけれど、どんな支援が本当に受けられるのか?」
「頼みたいことが法律上できないケースってあるの?」
— こうした悩みや疑問に対して、訪問看護の法的な枠組みやサービスの実際、利用条件・費用の目安まで、【専門資格を持つ看護師や現場データをもとに】徹底解説します。
このページを読むと、あなたのご家庭が本当に使えるサービス範囲や注意点、手続きの具体例まで理解できます。
「後悔しない在宅ケア」を選ぶための情報が詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
訪問看護ではできることできないことを徹底解説!制度の基礎と他の在宅サービスとの違い
訪問看護の法的定義と目的
訪問看護は、医師の指示書に基づき、看護師など専門職が利用者の自宅へ訪問し、医療や日常生活の支援を行うサービスです。対象は高齢者、障害者、難病やがん患者、精神疾患がある方など幅広いです。制度上は医療保険や介護保険が適用され、在宅療養の質向上と利用者・家族の負担軽減を目的としています。
訪問看護の具体的なサービス内容は以下の通りです。
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バイタルサイン測定や病状観察
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医療機器・医療行為(点滴管理、褥瘡処置など)
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服薬管理、排泄・清拭・入浴介助
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ターミナルケアや緩和医療、認知症ケア
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精神科訪問看護では、服薬確認、生活のリズム調整、外出支援などが追加されます
一方、訪問看護では買い物や家事全般の代行、請負的な行為、診療報酬で定められていない医療行為などはできません。また、散歩同行や外出支援は「自立支援」や医師の指示がある場合に限って対応可能です。
訪問看護の対象やサービス範囲については、以下の表が参考になります。
分類 | 主な対象者 | サービス例 | 主な保険適用 |
---|---|---|---|
訪問看護 | 高齢者・障害者・精神疾患・がん等 | 医療処置、看護、身体介助、健康管理 | 医療・介護保険 |
精神科訪問看護 | 精神疾患・認知症 | 生活支援、服薬管理、外出支援 | 医療保険 |
訪問介護・デイサービスとの違いと使い分け
在宅サービスには、訪問看護だけでなく訪問介護やデイサービスも存在します。それぞれの役割や違いを知ることで、最適なサービス選択が可能になります。
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訪問看護は専門的な医療や症状のケア、医療的なサポートが必要な方向けです。医師の指示書が必須で、医療保険や介護保険の適用範囲が明確に規定されています。
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訪問介護は主に日常生活のサポート(掃除や買い物、食事の準備、入浴介助など)が中心で、医療行為は行いません。介護保険が主な適用先です。
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デイサービスは通所型の施設で、機能訓練やレクリエーション、入浴、食事など日帰りで複合的支援を提供します。
違いを整理すると以下のようになります。
サービス名 | 提供内容 | 医療行為 | 対象者の特徴 |
---|---|---|---|
訪問看護 | 医療管理・健康管理・身体介助 | 可能 | 医療的管理が必要な方 |
訪問介護 | 生活援助・身体介護 | 不可 | 身体介助・生活支援が必要な方 |
デイサービス | 機能訓練・レクリエーション | 不可 | 集団活動・リハビリ希望者 |
サービスごとの使い分けは、医療行為の有無、日中の過ごし方、ご本人・家族の生活状況によって決まります。医療的ケアが必要な場合は訪問看護、身体介助中心なら訪問介護、日中の社会参加やリハビリを求めるならデイサービスを選ぶとよいでしょう。施設によっては連携も進んでおり、多職種が協働してケアプランを作成するケースも増えています。
このように、各サービスの特徴や違いを理解しておくことで、在宅生活をより安全・快適に送ることが可能です。
訪問看護ではできることを詳細に解説
身体清拭・排泄・入浴など日常生活支援
訪問看護では、自宅での暮らしを安心して続けられるように、日常生活動作の幅広いサポートが受けられます。主な支援内容は下記の通りです。
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清拭や入浴の介助:身体を清潔に保つための洗体や部分浴、シャワー浴の補助
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排泄介助:トイレ誘導やオムツ交換、排尿・排便のコントロールに関する助言
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食事介助:必要に応じて食事の摂取をサポートし、栄養状態の維持にも配慮
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体位変換や移動:褥瘡予防や転倒防止のための体位変換、ベッドから車椅子への移乗
これらのケアは、日常の負担軽減や衛生管理、QOL向上に欠かせません。生活状況や身体状態に応じて、個別にサービス内容を検討できる点も大きな特徴です。
バイタル測定と健康状態の管理
訪問看護の基本は、健康管理と異常の早期発見です。バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸数など)の定期測定をはじめ、看護師が健康観察を行います。
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バイタルサインのチェック
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全身状態の観察(皮膚や呼吸、浮腫など)
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病状の進行や悪化発見
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服薬状況や副作用の確認、相談
これらの情報は、主治医と連携して健康管理や必要な医療処置へ活かされます。高齢者や持病のある方も、安心して療養生活が送れるようサポートします。
医療処置・薬の管理・医療機器の使用支援
訪問看護では、医師の指示書に基づいてさまざまな医療的ケアも対応可能です。
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点滴や注射の管理
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人工呼吸器・在宅酸素・胃ろうなどの医療機器操作支援
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褥瘡や創傷の処置
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服薬管理と誤薬予防
訪問看護師が安全で確実にケアを行い、医療処置に必要な観察や報告も実施します。自宅での療養を支えるため、専門性の高い対応が求められます。
認知症・精神疾患患者への支援とリハビリテーション
認知症や精神疾患を有する方への支援は、訪問看護ならではの重要な役割です。
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認知症の症状進行予防や生活支援
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精神疾患への服薬管理や症状観察
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リハビリテーションの実施(歩行練習・身体活動の促進)
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コミュニケーションや日常生活の助言
精神科訪問看護では、対象疾患や患者の状態を踏まえ、外出支援や社会復帰に向けた取り組みも行われます。ご本人と家族の安心感向上に直結するサポートです。
緩和ケア・終末期ケアの提供
在宅療養中の方が最期まで自分らしく過ごせるよう、緩和ケアや終末期ケアも訪問看護が担います。
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痛みや苦痛症状の緩和処置
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精神面・心理面の支援
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ご家族への介護・看取りサポート
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医師や多職種と連携した最適なケア体制の構築
住み慣れた自宅での最後の時間を、心身の両面から支えることが可能です。ご本人・ご家族の希望に合わせて、寄り添った対応を大切にしています。
訪問看護ではできないこと・禁止行為と法的根拠
利用者宅以外のサービス不可範囲
訪問看護は、利用者の自宅でのケアに限られるという原則があります。利用者宅以外の施設や外出先での看護サービスは医療保険や介護保険の制度上、原則として認められていません。たとえば、日常の支援として買い物や通院への同行を依頼されるケースが増えていますが、これらは訪問看護が直接提供できるサービスの範囲外です。通院同行や買い物同行が必要な場合は、介護保険の訪問介護や外出支援サービスなど、他の支援サービスと連携して利用する必要があります。厚生労働省のガイドラインでも、訪問看護師が利用者宅外で業務を行うことに明確な制限が設けられており、訪問看護の目的や法的根拠に基づく厳格な運用が求められています。
サービス内容 | 訪問看護での対応範囲 | 他サービス例 |
---|---|---|
利用者宅での看護 | ◯ | – |
買い物同行・外出介助 | × | 訪問介護・外出支援 |
通院同行 | × | 受診同行・タクシー利用 |
看護師が行えない医療行為と制限
訪問看護師が自宅で行える医療行為は、医師の指示書に基づき、法令で認められる範囲に限られます。たとえば、特定の注射や点滴、喀痰吸引、創部の処置などは行えますが、手術や高度な診断行為、診療報酬で認められていない未承認の医療行為は実施できません。また、特定の投薬や一部の医療措置は医師や医療機関のみが可能であり、訪問看護師が単独で判断・実施できないことが法律により定められています。
【訪問看護でできない医療行為の例】
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外科手術や診断目的の画像検査
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医師の直接指示がない医療処置
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麻薬の管理・投与(医師が指定した場合を除く)
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法律・診療報酬上で承認されていない新規治療
訪問看護を利用する際には、医療の安全性と法制度を守ることが重要です。疑問点があればサービス事業者や医師、ケアマネジャーに事前に確認しましょう。
訪問看護師の守るべき倫理と行動規範
訪問看護師は、利用者の人権やプライバシー保護を徹底し、安全で信頼できるサービス提供が求められています。業務遂行時には、下記の行動規範が厳守されています。
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利用者情報の厳格な守秘義務
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無断での撮影や記録は禁止
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契約外サービスや金銭の私的受け取りの禁止
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個人的な価値観や宗教観の押し付けの禁止
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家族や第三者とのトラブルを回避する配慮
訪問看護では、法的な枠組みとともに、看護師自身の倫理観や良識、専門知識に基づく判断が重要です。ガイドラインや管理者指導の下で、常に利用者の安心と信頼を最優先とした行動が徹底されています。利用者や家族の声にも敏感に対応し、サービスの透明性を保つことも大切な役割となっています。
精神科訪問看護の特徴と対応範囲
精神科訪問看護は、精神疾患を抱える方が地域や自宅で安心して生活を送るために行われるサポートです。一般的な訪問看護と異なり、精神的な症状や生活の安定を支援する専門性が求められます。特徴として、日常生活の支援から服薬管理、コミュニケーションのサポート、再発予防、社会参加支援などがあります。利用の際には医師の指示書が必要で、病状や生活状況を踏まえて個別に対応します。精神科訪問看護では、支援内容の幅広さと患者の尊厳を守った対応が重要です。
精神科訪問看護の主な対応範囲は以下のとおりです。
サービス項目 | 内容 |
---|---|
日常生活支援 | 食事や掃除、身だしなみなどのサポート |
服薬管理 | 薬の確認と服用指導 |
対人交流・社会参加 | 外出同行や社会復帰支援、就労サポート等 |
再発予防 | 病状悪化のサイン早期発見、相談・助言 |
ご家族への支援 | 家族へのアドバイスや関係調整の協力 |
精神疾患別の訪問看護サービス内容
精神科訪問看護では、疾患ごとに必要なサポート内容が異なります。例えば、統合失調症の場合は服薬管理、症状の理解と受容、再発予防などが重要です。うつ病や気分障害には気分変動の観察、日常リズムの維持、生活意欲への働きかけが中心となります。発達障害や認知症では、日常生活の手順化やコミュニケーション支援が求められます。対象疾患や個々の状態によって、細やかにケアプランを調整しながら支援します。
主な対象疾患とサービス例をリストで示します。
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統合失調症:服薬サポート、生活リズム支援、再発防止
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うつ病・双極性障害:気分観察、就労への助言、日常生活アドバイス
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認知症:見守り、家族支援、事故予防の働きかけ
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発達障害:適切な声かけや行動支援、社会参加促進
精神科訪問看護で実施可能な支援活動
精神科訪問看護では、利用者の状態や希望に応じて多様な支援が行われます。日々の外出や買い物同行、散歩などの外出支援、身の回りの整理整頓、生活リズムの維持サポートなどが実施可能です。特に服薬管理は、精神科訪問看護で重要な役割のひとつであり、訪問時に服薬状況の確認や助言を行います。生活全般の支援として、家計や人間関係の相談、困った時の連絡方法についても提案が行われます。利用者と家族の安心につながる柔軟なサービス提供が特長です。
支援活動の例
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買い物や通院への同行支援
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服薬の声かけや管理指導
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家事や身支度のアドバイス
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散歩や地域活動への参加サポート
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日常生活の相談窓口としての役割
精神科訪問看護における禁止事項
精神科訪問看護には法律や制度の範囲が定められており、実施できない行為も明確になっています。金銭管理の代行や財産の直接管理、利用者に対しての強制的な医療行為、診療報酬算定外の医療処置などは禁止です。また、暴力的行為があった場合や重度の医療的処置が必要な場合、専門医療機関との連携が優先されます。利用者・ご家族とトラブルを回避するためにも、支援の範囲や禁止行為について十分な確認が必要です。
主な禁止事項リスト
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金銭や財産の管理・代理支払
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強制的な医療行為
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法定外医療処置や診断
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個人情報の漏洩
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訪問看護師の身に危険が及ぶ活動
一般訪問看護とのサービス比較
精神科訪問看護と一般訪問看護にはサービス内容やケアの主眼に明確な違いがあります。一般訪問看護は身体的な医療処置やリハビリ、バイタルチェックなどが中心ですが、精神科訪問看護では心の安定や生活リズムの維持、社会復帰支援が主体です。また、利用対象者や訪問回数、保険の適用要件も異なります。
項目 | 一般訪問看護 | 精神科訪問看護 |
---|---|---|
主な対象 | 身体的疾患、高齢者など | 精神疾患全般 |
サービス内容 | 医療処置・リハビリ主体 | 生活・社会復帰支援が主体 |
訪問回数 | 病状により異なるが調整可 | 状態安定まで頻回な支援も可能 |
料金体系 | 介護保険・医療保険が中心 | 医療保険適用が多い |
精神科訪問看護は精神的な課題解決と地域社会での暮らしの質向上に特化している点が特徴です。
訪問看護利用の条件と申請・開始までの流れ
利用対象者の条件と適用保険
訪問看護を利用できる方には、年齢や疾患の種類による条件が設けられています。下記のテーブルにて、主な利用対象者と適用される保険の種類を整理します。
利用対象者 | 主な条件 | 適用される保険 |
---|---|---|
高齢者・要介護認定を受けている方 | 要介護1~5の認定、または要支援1・2 | 介護保険 |
難病や特定疾患に該当する方 | 厚生労働省が定める特定疾患 | 医療保険 |
がんや終末期の方 | 診断書や医師の指示が必要 | 医療保険 |
精神疾患で在宅療養の方 | 医師の指示書が必要、精神科訪問看護に対応 | 医療保険・自立支援医療 |
小児等(18歳未満) | 医師の指示があり在宅療養が必要な場合 | 医療保険・他制度 |
高齢者だけでなく、小児や難病患者、精神科訪問看護の利用も可能です。医療保険と介護保険のどちらを活用できるかは、年齢や要介護認定の有無、疾患の種類により異なります。
申請から開始までのステップ概要
訪問看護サービスを利用するまでには一連のステップがあります。困った時は専門の相談窓口や主治医に相談しましょう。
- 主治医へ相談・訪問看護利用の必要性を確認
- 医師より「訪問看護指示書」の発行
- 地域のケアマネジャー(介護保険の場合)または病院の相談員へ相談
- 訪問看護ステーションの選定・連絡
- 必要書類を揃える
- サービス内容や料金説明を受け、サービス契約
- 訪問看護が開始
相談先としては、ケアプラン作成中の場合はケアマネジャー、入院中の方は病院の医療相談室も利用できます。精神科訪問看護を希望する場合も同様の流れですが、精神科主治医による指示書が必須となります。
必要書類と手続きの詳細
訪問看護サービスを利用する際には、以下の書類や手続きが必要です。手続きの流れを確認し、漏れなく準備しましょう。
必要書類・手続き | 内容 |
---|---|
医師の訪問看護指示書 | 主治医から交付される。病状や必要な看護内容を記載 |
介護保険証・医療保険証 | サービス申請時に提示 |
要介護認定証(介護保険の場合) | 要支援・要介護度が記載された証明書 |
サービス利用申込書 | 訪問看護ステーションへの申請書 |
その他必要書類(状況に応じる) | 障害者手帳・自立支援医療受給者証など |
書類作成や手続きは訪問看護ステーションやケアマネジャー、医療機関スタッフがサポートします。利用者自身での確認や事前準備も大切ですが、わからない場合は専門家に相談することでスムーズに手続きが完了します。
訪問看護の料金体系と保険適用の詳細
医療保険と介護保険の違いと適用範囲
訪問看護の料金体系を理解するには、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが重要です。以下の表で主な違いを比較します。
項目 | 医療保険 | 介護保険 |
---|---|---|
対象者 | 65歳未満で要医療者 など | 65歳以上または特定疾病の要介護者 |
サービス内容 | 医療的ケア・処置中心 | 生活援助や身体介護が中心 |
利用回数の基準 | 医師の指示に基づき制限なし | ケアプランで決定 |
負担割合 | 原則3割(高齢者は1〜2割の場合も) | 原則1割(所得によって異なる) |
医療保険は主に病気や術後のケア、精神科訪問看護など疾患管理が中心です。介護保険は日常生活のサポートやリハビリが主な役割となります。両保険の併用は原則できませんが、状況によって切り替えが必要な場合もあるので、初回利用時にしっかり確認しておくことが大切です。
料金の計算例と月額費用の目安
料金は利用する保険によって異なりますが、目安になる事例を紹介します。
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介護保険利用の場合
- 1回30分程度の訪問看護(1割負担)→約470円
- 週2回×月8回利用で約3,760円
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医療保険利用の場合
- 約30分の訪問看護(1割負担)→約850円
- 週2回×月8回利用で約6,800円
上記金額に加え、訪問看護管理療養費や夜間・休日加算、医療材料費などが発生する場合があります。所得や世帯状況によって負担割合が変動するため、必ず事前に最新の料金表や早見表で確認しましょう。
費用負担を軽くするための公的支援制度
訪問看護の費用を抑える制度も充実しています。
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・高額療養費制度
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・障害者医療費助成
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・自立支援医療制度(精神科訪問看護等)
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・自治体独自の医療費助成
これらの制度を活用することで、利用者や家族の経済的負担を最小限に抑えることが可能です。特に精神科訪問看護や障害がある方は、さらに特例が適用される場合もあるため、詳しくは地域の窓口や医療機関で相談すると安心です。
負担軽減のための手続きには、主治医の指示書やケアマネジャー作成のケアプラン、必要書類の提出が求められることがあります。最適な制度を選ぶことで、継続的な療養生活や在宅支援がより現実的になります。
訪問看護利用時の注意点・トラブル予防策
サービス対象外となるケースと注意点
訪問看護は幅広いサービスを提供しますが、法令や制度の範囲を超える行為には対応できません。主な対象外ケースを表にまとめました。
対応できない主な行為 | 解説・注意点 |
---|---|
医師の指示書がない医療処置 | 法律により指示書が必須。勝手な処置や投薬は不可 |
日常生活援助以外の家事全般 | 買い物、掃除など日常生活の支援でも範囲外の場合あり |
介護保険・医療保険未適用の特別なケア | 各種保険の条件に合致しない場合や自費扱いとなる場合は利用不可 |
付き添い・受診代行(一部) | 訪問看護師単独の通院同行や、買い物同行などは条件付きで一部制限 |
法制度を逸脱する医療行為 | 医師や薬剤師等にしか認められない処置や投薬 |
利用者本人の意思に反するサービス | 必ず本人や家族の同意のもとで実施 |
注意点としては、医療的な行為は必ず医師の指示が必要であり、訪問看護師が主体的に判断して独自にサービスを追加することはできません。依頼前に受けられるサービス内容・条件を詳細に確認しておくことが重要です。
緊急時の対応体制と対応可能範囲
訪問看護では急変や体調不良などの緊急時にも備えた体制が整っています。しかし、すべてのケースに24時間即時対応できるものではないため、利用前にサービス内容をよく確認することが必要です。
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緊急時の対応例
- 電話相談
- 必要に応じた夜間・休日の緊急訪問(要事前契約)
- 医師との連携による救急搬送の手配
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対応可能範囲
- 緊急の医療的処置(指示書範囲内)
- 状態観察と応急対応
- 症状に応じた助言や家族支援
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対応できない範囲
- 訪問看護師が不在時の即時訪問
- 本来医療機関でしか行えない高度な処置
- 他の利用者と重なる場合の同時対応
契約内容や事業所ごとに夜間・休日の対応可否が異なるため、必ず事前の説明を受けておきましょう。
トラブルを防ぐための利用者・家族の心得
トラブルを回避し安心して訪問看護を受けるには、利用者や家族の正しい理解と事業所選びが欠かせません。
心得のポイント
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サービス内容や担当看護師に疑問があれば小さなことでもすぐ相談窓口を活用する
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ケアプランや指示書など、書類や条件の確認を怠らない
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サービス提供時間や訪問日程に無理がないか事前に調整する
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医療保険・介護保険・自費サービスの区別をよく理解して利用する
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事業所選択では、サポート体制や実績、利用者の声を比較検討して選ぶ
特に精神科訪問看護は、対象疾患や目的、外出支援・買い物同行などが一般の訪問看護と異なる場合もあるため、サービス内容の事前確認が重要です。
トラブル予防のための確認リスト
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契約書やサービス内容の明示
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責任者や相談窓口の明確化
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緊急時の連絡フロー
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家族・本人の同意とプライバシー配慮
これらを意識し、安心して質の高い訪問看護サービスの利用を目指しましょう。
訪問看護サービスの多様な利用ケースと家族支援
高齢者の在宅ケアにおける訪問看護
高齢者の在宅療養では、認知症や慢性疾患の方に対する訪問看護サービスが利用されています。主なサービス内容としては、健康状態のチェックや食事・排泄などの生活支援、薬の管理と服薬確認が挙げられます。認知症の場合は、日常の安全確保や精神的なサポートも重視されます。慢性疾患の方には、他職種との連携によるリハビリや急変時の対応など、在宅での生活の質を高める看護が提供されます。医療保険や介護保険を適用したサービス選択が可能で、利用条件に応じて適切な支援が受けられるのが特長です。
サービス例 | 内容 |
---|---|
健康状態のチェック | 血圧・体温測定、バイタルサインの確認 |
生活支援 | 食事・排泄・清拭などの日常動作支援 |
服薬管理 | 薬の準備と服薬タイミングの確認 |
リハビリテーション | 医師やリハビリ職と連携した運動支援 |
精神面サポート | 認知症患者への安全対策や迷子防止 |
小児訪問看護の特徴とサービス内容
小児訪問看護は、医療的ケア児や慢性疾患のあるお子さんへ専門的な支援を行うサービスです。人工呼吸器や胃ろうなど医療機器が必要なケースでも、自宅で日常生活を送れるようサポートが提供されます。主なサービス内容としては、医療的処置のほか、発達段階に応じたリハビリ、家族へのケア指導などがあります。体調変化の迅速な対応や、感染予防の指導も大切な役割です。保健師や各種専門職と連携しながら、子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイドのケアを行います。
サービス内容 | 詳細例 |
---|---|
吸引・吸入管理 | 人工呼吸器の管理や痰の吸引 |
食事・栄養サポート | 経管栄養や食事介助 |
成長発達のケア | 発達支援や遊びを取り入れたリハビリ |
家族サポート | ケアの指導や心配ごとの相談対応 |
精神疾患患者の訪問看護と家族のサポート
精神疾患のある方への訪問看護では、日常生活の維持と自立支援、症状悪化の予防、服薬管理などが主な役割です。具体的には、生活リズムの整え方を一緒に考えたり、ストレス対処法を一緒に実践したりします。精神的な不安や孤独を和らげるため、きめ細かなコミュニケーションも大切です。ご家族へのサポートも重視され、病状や治療への理解促進、相談しやすい環境作りなどを行います。外出や受診の同行支援も利用可能なケースがありますが、法律やサービスの範囲を理解して正しい利用が必要です。
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日常リズムの相談
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服薬と副作用の確認
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家族への精神的フォロー
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受診や外出の同行支援(条件あり)
家族が負担を減らすためのケア方法
家族の負担軽減は、訪問看護サービスが重要視しているポイントのひとつです。以下の方法が効果的とされています。
- サービスを組み合わせて利用(介護保険や自費サービス)
- ケアプランの作成時に家族の希望を伝える
- 定期的な看護師への相談で悩みや不安を共有する
- 福祉用具や住宅改修を活用して介助負担を減らす
- 気分転換やリフレッシュの時間を確保する
これらの工夫により、介護疲れを防ぎつつ、患者と家族双方が自宅で安心して暮らせる環境づくりが進められます。特に負担が大きく感じる時は、早めに専門職へ相談することが大切です。
訪問看護に関するよくある質問(Q&A)を散りばめた充実解説
利用資格や利用開始時期の疑問
訪問看護サービスは、介護保険や医療保険どちらでも利用でき、要介護認定を受けた方や慢性疾患・障害を抱えた方が主な対象です。ご自宅で療養を希望する場合、医師の指示書が必須となります。退院直後からの利用や在宅医療の導入段階でも早期に開始できます。特に精神科訪問看護の場合も医師の指示に基づき利用が可能で、精神疾患を持つ方や家族もサポートを受けられます。対象となる疾患は幅広く、高齢者だけでなく若年層にも適用されます。利用する際はかかりつけ医や地域包括支援センターに相談する流れが一般的です。
訪問看護の料金や保険適用に関する質問
訪問看護の料金は、サービス内容や利用回数、保険の種類によって異なります。主に介護保険または医療保険が適用となり、自己負担は1割から3割程度が一般的です。介護保険適用の場合、要介護度や利用時間で金額が変わり、医療保険は疾患や訪問回数によって費用が設定されます。下記の参考テーブルにて料金概要をまとめています。
項目 | 目安料金(1回あたり) | 保険適用 |
---|---|---|
介護保険 | 約300~1,300円 | 〇 |
医療保険 | 約800~1,200円 | 〇 |
精神科訪問看護 | 約1,000~2,000円 | 〇 |
障害者自立支援や高額療養費制度なども利用可能です。事前に費用の詳細を事業所へ確認し、不明な点は相談しましょう。
できること・できないことの境界に関する質問
訪問看護では、医師の指示のもとでの医療行為や日常生活のサポート、健康管理が受けられます。主なサービス例は下記の通りです。
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バイタルチェックや服薬管理
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清拭・入浴介助・排泄介助
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褥瘡(床ずれ)予防
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点滴やカテーテル管理
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精神疾患の看護支援
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在宅リハビリ、外出や散歩の同行
一方、訪問看護師が代行できないことや法的に禁止されている行為もあります。
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医師の診断行為や処方
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家事代行(買い物、掃除の全面代理など)
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医師の指示がない医療処置
-
介護保険の枠を超えたサービス
特に精神科訪問看護の場合も、買い物同行や外出支援は医師とケアプランに基づいた範囲に限られます。違いを理解してサービスを選びましょう。
緊急時対応やスタッフ変更の質問
訪問看護では、緊急時の対応体制が整っています。夜間や休日も24時間体制で電話相談や緊急訪問を実施している事業所も多く、急な体調変化や医療的トラブル時でも安心です。利用者や家族の要望による担当スタッフの変更も可能です。相性や対応について不安がある場合は、遠慮なく事業所へ相談しましょう。疾患や状況の変化にも柔軟に対応できるため、利用者やご家族の安心につながります。